シャプラニール=市民による海外協力の会
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中期方針2007-2011

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シャプラニールのミッション(目指すもの)
共生する地球社会の実現 〜市民活動としての海外協力〜


シャプラニールは、南北問題に象徴される現代社会の様々な問題、とりわけ南アジアの貧しい人々の生活上の問題解決に向けた活動を現地及び日本国内で行い、すべての人々が豊かに共生できる地球社会の実現を目指します。

シャプラニールの活動原則

  • 当事者主体の原則
  • 市民参加による海外協力

T. 現状認識

1. 南アジア社会の大きな変化
シャプラニールは、1972年以来、南アジアの貧しい人々の生活向上のために活動してきました。バングラデシュで活動を開始した当初、農村貧困層の経済的な状況は、高度経済成長を経験した日本人には想像もつかないほど困窮を極めていました。しかしながら、90年以降、南アジアにおいても、経済のグローバル化につれて経済成長が続き、雇用機会の増大や農業生産性の向上により、民衆レベルの経済状況も改善され、全体の底上げが進みました。都市化が進み、交通通信網などのインフラも徐々に整備され、中産階級も厚みを増しつつあります。

バングラデシュにおいても、かつては一日二食がやっとだった貧困層の多くが何とか三食食べられるようになるなど、人々の生活は相当程度改善されました。微力であっても、NGO活動がその一助となれたのであれば、これ以上喜ばしいことはありません。

一方、ネパールでは、1996年から2006年まで続いた「人民戦争」が1万数千人の犠牲を生むなど政治的に著しく混乱し、社会経済開発も滞った状態が続いてきました。2007年の制憲議会選挙などを経て民主的政権の樹立が期待されますが、まだ不安な要因も残っています。今後は、立ち遅れた開発活動の再開に加えて、和解や復興などの紛争後の諸活動が重要になるものと思われます。


2. 経済発展の光と影:「取り残された人々」の窮状

インドやバングラデシュでは、急激に進むグローバル化にともない、競争経済の浸透による所得格差の拡大、急激な都市化の進展にともなう地域共同体のあり方の激変による相互扶助の衰退、都市貧困層やスラムの増加など、新たな問題が顕在化しています。政治的安定が保たれれば、ネパールにおいても経済開発が一気に進行し、それにともなって同様の現象が起こる可能性が高いでしょう。

こうした中、厳しい生活を強いられている人々の疎外感はさらに強まっています。バングラデシュでは、一日一食の最貧困層の人々の多くは依然として一食のままです。ネパールでは、政治的混乱のために辺境に住む人々や少数民族、被差別階級の人々への社会サービスの提供や政治参加は著しく停滞しており、格差はますます広がっています。医療や福祉サービスへの渇望が全体に高まっているにもかかわらず、行政のサービスがなかなか行き届かないため、それにアクセスできない人々の生活は、いよいよ悲惨なものとなっています。「取り残された人々」を生みだす不公正な社会の構造が顕在化してきたと言えるでしょう。


3. 日本との共通課題

国際社会で起こっている様々な問題に対して、経済のグローバル化や国際政治への関わり方などを通じてさらに繋がりを深めているという意味で、日本で生活するわたしたちは当事者としての責任が重くなっていると言えます。同時に、日本においても、少子高齢化に伴う様々な社会課題が噴出したり、所得格差の拡大や家族関係の歪みが進むなどしており、社会のあり方と個人の生き方の両面での見直しを迫られています。わたしたちは、自分たちが暮らす社会や身の回りの問題に対して当事者であることは言うまでもありません。かつては見えにくかった共通の課題も徐々に浮かび上がっており、同じ地球人として同時代を生きるという実感はいよいよ強まっています。


4. NGO・NPOの現状

グローバル化の進展の中で、北と南のNGOは、開発や開発援助の専門機関としての存在感をますます強めています。しかしNGOにおいても、悲惨さや貧しさの過度な強調、資金を提供する側の課題の優先、組織の自己目的化や腐敗、といった問題が存在します。その一方、情報網が発達するに伴って人々の問題意識が高まり、より公正で平和な社会を求める声が強まっているという現実があります。それは多様な市民活動の広がりとして現れ、多くの場合、NGO・NPOという形をとっています。南でも北でも同様に、社会的課題に立ち向かう市民社会組織としてのNGO・NPOがますます重要になり、そのあり方も問われてきています。


5. シャプラニールの現状と目指すもの
シャプラニールは、1972年の創設以来、「市民による海外協力」を旗印に、対等な関係を重視した活動と自立的で民主的な組織運営によって、日本の国際協力NGOの草分けとして大きな役割を果たしてきました。2001年には、新しい定款のもとにNPO法人化し、組織的・経済的基盤の一層の強化に努めています。

2004年から2006年にかけての中期ビジョンのなかでは、主に以下の点に注力をしてきました。

  1. 理念や組織化など質的向上の優先

  2. 当事者自らが主体的に社会を変えていく、という活動理念の強化と、それに伴うバングラデシュでの活動形態の変化(プロジェクトの直接実施から、現地NGOとのパートナーシップへの移行)

  3. 「南アジアのシャプラニール」という実体の確立、具体的にはインドでの活動開始と、南アジア全域における災害などへの取組みやネットワーク化の強化

  4. マクロ的視点の確立や新たな分野での活動

これらの多くの点が実現されましたが、4.に示した援助や貿易などに関するアドボカシー活動や新分野での活動を筆頭に、一層の充実が望まれる段階にあります。NGO・NPOのあり方が問われる中、シャプラニールも国内外でNGOの一員としての責任ある対応を求められる場面が急速に増えてきています。

国際協力NGOとしてのシャプラニールは、上記の現実を正面から見据えて状況を切り開きながら、より一層成長していくことを期して、これからの5年間、以下のような方針を掲げて活動していきます。


U. 基本方針

わたしたちシャプラニールは、ミッションステートメントに記された「すべての人々が豊かに共生できる地球社会の実現」を単なるスローガンで終わらせないように、当事者主体の視点に立ち、「共生」をより具体的に表した活動に組織を挙げて取り組み、社会に示していきます。この5年間は特に下に示したような8つの基本方針に従って活動を進めていきます。
私たちが考える当事者 とは:

  1. 南アジアにおける経済社会発展や開発援助から「取り残された人々」
  2. 南アジアにおける「取り残された人々」を取り巻く周辺の人々
  3. 「取り残される人々」を生み出すグローバルな社会経済構造の一端を担っている当事者、すなわち日本をはじめとする援助する側の人々
  4. 国内外、南北を問わず、共通の課題に取り組む人々

「当事者主体」であるということは、どんな状況にあっても、仲間や親族や地域の人々と、互いに助け合い協力し合うことで尊厳を持って生きようとする人々の努力や能力がある、ということです。

ここに挙げた当事者については、1から4までの基本方針を立てて対応させました。

1. 「取り残された人々」への取り組みを強化します
わたしたちは何よりもまず、「取り残された人々」が、自身の尊厳と誇りを持って安心して生活していけるための活動を、上に述べたような「当事者主体」を意識しながら推進していきます。


2. 「取り残された人々」を取り巻く周辺の組織や人々にも積極的に働きかけていきます

わたしたちは、「取り残された人々」とその周辺にいる地域の人々と交わると共に、それを支援する地域のNGOや中産階級の人々、行政や企業などに積極的に働きかけ、あるいは巻き込みながら活動を進めていきます。また、「取り残される人々」を作り出している社会構造、慣習や制度などの見直しにも関わっていきます。


3. 日本のわたしたちも当事者という認識とそれに基づいた行動を広げていくために、情報発信や具体的な活動の場やしくみを創っていきます

  1. 同じ時代を生きる友としての実感がもてるよう、「南」の人々の現実、喜びや困難、文化の豊かさなどをいきいきと伝えるとともに、より多くの市民が関われる様々な活動の場や仕組みを創っていくことで、市民による海外協力の輪を広げていきます。
  2. 「取り残される人々」を生み出す社会経済構造を変えていくために、必要な提言や行動を行っていきます。
  3. 私たちの生活のあり方を問い直すための活動にも、積極的に取り組みます。
  4. 国際機関、行政、企業などとの連携をより強めることで、活動の幅を広げます。

4 .媒介者として当事者同士の経験交流やネットワーキングに努めます

国内外、南北問わず、共通の課題に取り組む組織や人々とより密接な情報共有に努め、経験交流を促進していきます。とりわけアジア地域の市民活動との連携を深めていきます。
 

5. 「生産者の生活向上」を第一としてクラフトリンク活動を進めていきます

手工芸品を通じた海外協力を実践してきたクラフトリンクについては、厳しい生活を強いられている生産者の生活向上を最優先に活動を進めていきます。それが「取り残された人々」の収入確保につながるからです。また、クラフトの販売を通して、南の人々の豊かな伝統や文化を伝えながら、「いちばん身近な海外協力」としての活動の場を広げていきます。
 

6.  「取り残された人々」の現実および問題の構造を深く理解し、それを適切に支援していくための技能を高めていきます

「取り残された人々」の事情と現実、日々の喜びと苦しみをきちんと把握したうえで、彼・彼女らおよびそうした人々を支えようとする組織や人々を、主にパートナーシップを通じて支援していくことが、外部者かつ媒介者としての国際協力NGOの役割であるとわたしたちは認識しています。そのために必要な課題・現状の分析能力および「ファシリテーション」や「コンサルテーション」の技能を、より一層高めていくことに注力します。
 

7.  これまで力を入れてこなかった他の分野・地域についても可能性を探ります

多様な援助のあり方を学び、視野を広げるために、これまであまり力をいれてこなかった、紛争後の和解や復興のプロセスなどの他分野や他地域への取り組みも、機会を捉えて積極的に行います。
 

8.  理解者・支援者を増やし組織を一層充実させます

本方針を実現させるため、また一層の社会的影響力を発揮できるよう、シャプラニールの理解者・支援者を拡大し、かつスタッフや理事の能力を向上させることで、質量共に組織をより充実させていきます。財政構造についても、自己財源率のあり方なども考慮しながら、現実的な対応を行っていきます。
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