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シャプラニールとは
行動・活動指針-2007
海外協力に関する活動指針
1. 「行動指針」検討の背景
シャプラニールはバングラデシュで、相互扶助グループ「ショミティ」の育成支援を通じ、最も貧しい村人たちの生活の向上に取り組んできており、教育の普及、保健衛生状態の改善、収入の向上といった側面で、着実な成果を上げてきた。しかしバングラデシュ農村では教育・医療施設・道路といったインフラの絶対的不足から民主的地方自治制度の未整備にいたる多岐にわたった問題がいまだ存在する。その一方で、現在のショミティの多くが外部からの各種サービスの「受け皿」としてのみ機能し、問題を持続的に解決する力がついていないことが明らかになりつつある。また急速な都市化によりスラムやストリートチルドレンといった農村以外の貧困層の問題も深刻化しており、従来の「ショミティ支援」一辺倒は見直しを迫られている。さらに1997年末に起きたシャプラニール現地スタッフによるストライキ事件は、スタッフを多数雇用し首都に本部を置いて地方で直接開発プロジェクトを実施する運営体制に対し再考を迫る契機となった。
バングラデシュを含む「南」の国々では、その国、その地域に住む人々自身が自分たちの生活向上や地域・国の発展のために作った「NGO」や「住民組織」が数多く活躍するようになり、各国の公的ドナーや国際NGOもこうした地元団体を通じた援助を重視するようになってきた。シャプラニールは1994年以降ネパールでも活動を開始したが、そこではシャプラニールと共通した方針を持つ現地NGOをパートナーとして、その現地NGOが実施する活動を支援し参加する形をとっている。さらに1999年からは都市住民自身が結成した住民組織を支援する活動も開始した。こうした経験を通じ、直接実施という支援形態ではない形でもシャプラニールが目指す目的を果たす可能性が出てきた。
こうした状況変化の中で、シャプラニールは今後、どのような海外活動をどういった形で展開すべきなのか。ショミティ方式や直接実施方式が転機を迎えたバングラデシュ、二代目の駐在員がパートナーシップ協力を受け継いだネパール、そして今後展開が計画されている第三番目以降の協力対象国。それぞれの現場で実情にあった真に有効かつ斬新な海外協力活動が求められると同時に、「シャプラニールらしさ」「シャプラニールとしてのアイデンティティ」の一貫性もまた必要とされている。「海外活動に関する行動指針」はそうしたシャプラニールの海外活動全体を貫く考え方や今後の方向性、そして実際の現場での行動指針をできる限り明らかにしようとするものである。
2. 海外活動の目標
シャプラニールはその定款(第3条)において「市民の自発的参加と責任に基づき、南北問題に象徴される現代社会の様々な問題解決のために必要な海外協力等の諸活動を行い、すべてのひとが持つ豊かな可能性が開花する社会の実現を目指す」を会の目的に定めている。しかし今や南北問題は世界の全ての国々が経済成長という単一の目的を追求することによってではなく、南北双方の市民が「本当に豊かな社会とは何か」を考え、それぞれの地域に根差した多様な価値観を認め合いながら「共に生きる社会」を目指すことによってしか解決できなくなっている。そのためには開発を行政や企業まかせにするのではなく、南北双方の国々でそれぞれの地域に暮らす住民一人ひとりが「市民」としてより良い地域社会のあり方について考え、発言し、行動できるようになることが大切である。そしてシャプラニールの27年間のバングラデシュ、ネパール、そして日本での経験は、それぞれの地においてそうした「自立した市民」が積極的な動きを創り出しつつあることを裏付けている。
シャプラニールはこうした状況認識と目的意識をもち、今後は「南」と「北」の住民がお互いに協力しあいながら南北問題の解決に向けて共に取り組むプロセスを重視したい。「南」の現場においては住民が問題の当事者として貧困や差別のない社会を創りあげていく活動を側面から支援し、日本では市民が「南北問題」の当事者としての意識を持ち行動するように働きかけていく。これが21世紀のシャプラニールが目指す「市民による海外協力」であると考えたい。
3. 「南」の活動現場での行動指針
(1) 活動の対象領域
a) 最も貧しく、虐げられた人々
都市と農村の双方において、途上国で大多数を占める貧困層の抱える問題の解決を第一に考える。それとともに、先住民族や障害者等、差別を受け虐げられた人々の存在も重視し、その問題解決にも力を注ぐ。
b) 社会の変化によって生じた問題
社会の急速な変化によって、貧困や差別につながる予測できない様々な社会問題が生じる。その重要性にかかわらず公的機関や他のNGOが見過ごしたり、対応が遅れるケースがある。これらの課題に対して柔軟かつ敏速に対処し、その解決に努力する。
c) グローバリゼーションに伴う諸問題
「ヒト・モノ・情報」のより一層のグローバル化が進みつつある中で、貧困や差別を受ける人々の問題は、その地域・国の中だけで解決できるものではなくなってきている。シャプラニールは問題の当事者の視点に立ちつつ、世界的な視野の中で可能な解決策を模索していきたい。
d) 緊急救援
シャプラニールの活動地や協力先の現地NGOまたは住民組織がある国、或いはその周辺国において大きな災害が発生した場合には、緊急救援の実施を検討する。紛争等の人為災害については紛争地域内での活動は原則として行わず、安全な地域での避難民を対象とする活動に限定する。また救援活動を行う場合でも社会的弱者を優先する。
(2) 方法上の原則
a) 当事者主体の原則
問題の当事者である住民が主体となり、自ら問題を解決すべく活動の立案、実施、評価を行うプロセスを支援する。
b) 問題の構造や原因を重視
貧困や差別・抑圧の問題は、世界や社会のあり方にその根をもっており、単純に財やサービスを供給するだけで解決する問題ではない。活動を行うにあたっては、常に問題の構造や原因を理解し、その解決につながる方法をみずから考える支援のあり方を重視する。
c) 住民の問題解決能力を重視
住民が主体となって貧困や差別の問題を原因まで辿って解決するには、社会への継続的な働きかけが求められ、それを可能とするだけの能力を住民自身が身につけることが必要である。したがってシャプラニールは住民の生活がどの程度向上したかだけでなく、活動を通じて住民がみずから問題を解決する能力を身につけるとともに、そうした住民自身の活動を可能とする社会環境を整えることも重要な目的とする。
(3) 国際NGOとしてのシャプラニールの役割
A) 現地NGOや住民組織を側面支援する「パートナーシップ」の重視
直接現地スタッフを雇用して事業を実施するバングラデシュでのこれまでの協力方式は、現地での活動に直接関わることによって南北問題に対する理解を深め経験を蓄積するという面では一定の成果を収めてきた。しかしバングラデシュをはじめ「南」の国々において現地のNGOや住民組織が力をつけてきた事実や、現地住民主体の問題解決に向けての持続的努力を支援するというシャプラニールの立場を考慮すると、今後シャプラニールは現地のNGOや住民組織が取り組む活動を側面支援する「促進者」としての役割や、現地NGOのスタッフや活動地の住民たちによる他地域で類似の活動を行う人々との経験交流や連帯を促す「媒介者」としての役割に、より積極的に取り組んでいく必要がある。
B) 「南」の現場におけるNGOのあり方
「南」の現場においてはさまざまなNGOが多種多様な活動を展開しているが、シャプラニールは、次のような役割を果たすNGOを今後の協力活動の主たる対象としたい。
◆パイオニアとしてのNGO
貧困層や被差別者にとって一番必要な活動やサービスを見出し、それを最も効率的・効果的な形で提供することができるのが、草の根の立場にあるNGOの利点である。公的機関やNGOによる既存の活動ではカバーされていない問題に対して、住民参加で効果的な活動を創りあげる「パイオニア」としてのNGO活動を重視する。
◆媒介者としてのNGO
現地NGOといえども住民にとっては「外部」の存在であり、また未来永劫一つの地域に居続けるべきではない。最終的には住民自身が地域の発展を担うべきであり、NGOの関わりは一定期間の限定的なものとすべきである。NGOの役割は、住民自身やその組織の自律的な発展と、地域におけるその他のリソース(地方行政、各種団体、企業等)へのアクセスを促し、効果的かつ持続的な発展のための努力が住民主体で続けられるようにすることである。

















